耐久性や経済性に優れており、比較的容易に高強度な構造物が得られること
から、コンクリートは、構造用の建設材料として多方面で使用されていますが、圧縮強度が大きい反面、引張強度は小さく、ひび割れが発生しやすい
ことや、破壊時の挙動がぜい性的になるという特性があります。このため、一般的に引張強度の強い鉄筋と組み合わせて使用されていますが、
コンクリートにひび割れが発生した場合には、鉄筋の腐食を誘発させる要因となり耐久性の低下を引き起こし、また、美観の点からも問題となります。
特に最近、美観・耐久性に関与するひび割れは、建物の所有者にとって非常に大きな関心が持たれています。
更に、ひび割れがコンクリート内部で連続すると、一部のコンクリートが剥離して剥落を発生させる恐れがあり、コンクリート片の剥落によって
構造物の下を通行する人や車両に重大な被害を与えることも考えられます。記憶に新しい1999年6月の山陽新幹線福岡トンネルで、内壁から
コンクリート片が剥落し、走行中の新幹線を直撃した事故も、一歩間違えば大惨事につながりかねない事故だったと言われており、
コンクリート構造物の早期劣化対策が社会問題としてその解決が迫られており、第三者に対する安全性を確保することが大きな課題となっています。
|
 |
| ひび割れ発生原因
|
| コンクリートのひび割れの発生原因として大きく分けて以下の様なものがあり、例えば、
ダムや大規模橋梁などに代表される大規模建造物のコンクリート打設においては、セメントの水和熱に起因する温度応力によるひび割れの発生が
問題となると言われていますが、実際には、ひび割れの発生メカニズムは複雑で、これらの要因が複合化して発生する場合が多いと考えられています。
|
| ・ |
コンクリート硬化前の初期ひび割れ |
| ・ |
セメントの水和熱によるひび割れ(温度ひび割れ) |
| ・ |
異常膨張などによるひび割れ |
| ・ |
乾燥収縮によるひび割れ |
| ・ |
凍結融解作用によるひび割れ(コンクリート内の水分の夜間凍結、日中融解の繰返し) |
| ・ |
鉄筋の発錆によるひび割れ |
| ・ |
アルカリ骨材反応による生成アルカリシリケートの膨張のひび割れ |
|
 |
| ひび割れ対策
|
コンクリートのひび割れは避けられないものですが、ひび割れの進展や剥落を防止する技術の
一つとして、微量の短繊維(繊維素材を長さ数ミリから十数ミリに切断)でコンクリートを補強させる技術が注目されています。コンクリートを繊維で
補強すると、コンクリートにひび割れが発生しても、ひび割れの界面を繊維がつなぎ、剥離・剥落を防止する事ができます。短繊維を混入することで、
クラックの進行を緩和し、コンクリートのじん性も大幅に改善できます。通常、コンクリートに混入される短繊維の材質として、「鋼繊維」「ガラス繊維」
「炭素繊維」及び「有機系繊維」がそれぞれの特性を活かして用途に応じて使い分けられています。
最近では,密度が小さく軽量でコンクリートに混入した際に流動性への影響が少ない、施工性に優れた有機系繊維(ビニロンやポリプロピレンなど)
の用途が拡大しています。有機繊維の混入量は体積あたり1%前後とされていますが、混入する繊維の量が多くなるとどうしてもコンクリートの施工性
が劣るようになりますので、繊維径を細くし、混入量は少なくても繊維本数が多くなる工夫がなされています。
優れた補強効果を発揮させるために、分子量分布制御などによる最適樹脂設計を施した樹脂を用いて繊維自身の強度を向上させたり、
繊維の形状を波形に加工したりする工夫などが行われています。日本ポリプロ(株)では、コンクリート補強に最適な繊維用樹脂
「ノバテックPP」を提供しております。
また、繊維加工技術の多様化により、繊維メッシュやマット、連続繊維なども補強に用いられるようになってきています。三菱化学産資(株)の
「ウルトラネット」は、ポリプロピレン繊維をネット状に加工したもので、
コンクリートの収縮クラックの抑制、衝撃強度・靱性・疲労特性の向上効果が大きい製品です。
発生したひび割れが構造物の耐久性、美観などを損なわないようにするために、ひび割れ幅に対応した補修を行う必要があります。
三菱化学産資(株)では、高強度炭素繊維を一方向に
引き揃え、エポキシ樹脂を含浸、接着するだけの作業性の良い軽量、高強度、高弾性、高耐久性の特長を兼ね備えた
コンクリート補修・補強材料炭素繊維シート「リペラーク」を上市して
おり、工事の簡便化、工期短縮のお役に立っています。 |
 |
| 繊維補強コンクリートの試験方法
|
|
繊維補強コンクリートは、優れた靭性やひび割れ進展を防止するとともに、曲げ強度や
せん断強度も普通コンクリートに比べて高いため、トンネルの吹き付けや法面、コンクリート二次製品など土木・建築分野で広く利用されています。
これにともなって、繊維補強コンクリートの諸特性を評価する試験方法などの確立が求められ、繊維補強コンクリートの試験室における作製方法、
供試体の製造方法、強度並びにタフネスの試験方法及び繊維補強コンクリート中における繊維混入率の測定方法などを含む8種の試験方法が
社団法人「日本コンクリート工学協会」から制定されています。 |
 |