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建築・土木用途で使用されるプラスチック材料の解説(1)
1.ポリエチレン(PE:polyethylene)

化学式:
概要:
 ポリエチレンは、エチレンを重合して得られる結晶性樹脂です。圧力、触媒などの重合条件あるいはブテンやヘキセンなどのコモノマーとの共重合により各種密度のポリエチレンが得られます。密度を基準にしたポリエチレンの分類の一例を下記に示します。
高密度ポリエチレン(HDPE:High Density Polyethylene) 密度:0.941 〜 0.965 g/cm3
中密度ポリエチレン(MDPE:Medium Density Polyethylene) 密度:0.926 〜 0.940 g/cm3
低密度ポリエチレン(LDPE:Low Density Polyethylene) 密度:0.910 〜 0.925 g/cm3
 通常、低密度ポリエチレンと言えば、1,000〜2,000気圧の高圧下で重合される高圧法低密度ポリエチレンのことを指します。高圧法低密度ポリエチレンは、長鎖分岐と呼ばれる枝分かれの長い分岐があるのが特徴で、このため、密度が低く(結晶化度が小さく)柔軟性などが発現すると同時に、成形加工性が良いという特性があります。一方、同じ低密度ポリエチレンでも、長鎖分岐が存在しない直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE:Linear Low Density Polyethylene)もあります。中低圧で重合される直鎖状低密度ポリエチレンは、コモノマーとの共重合により枝分かれの短い短鎖分岐を導入して密度を低くした構造のもので、高圧法低密度ポリエチレンに比べて強度に優れています。構造的には、高密度ポリエチレンに近いと言えます。また、エチレンとコモノマーとの共重合において、コモノマーの量を調節することにより、密度が0.910 g/cm3よりも小さい超低密度ポリエチレン(VLDPE:Very Low Density Polyethylene)が製造されております。VLDPEは、融点が低く柔軟性に富んだ特性を示し、ポリオレフィン系「プラストマー」とも呼ばれています。
この他、優れた物性が注目されているメタロセン触媒で重合したポリエチレンや磨耗の少ない潤滑性に優れた特性を示す分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)も上市されています。
ポリエチレンの特徴:
 ポリエチレンの物性に大きな影響を与える因子は、分子量と分岐(分岐の数や種類)の構造因子であり、これらの制御によりポリエチレンの密度や特性が変わります。
 
HDPEの融点は、他の樹脂に比べ低く、130℃前後です。LDPEでは、更に融点が低くなります。
その温度まで凍らない目安であるガラス転移温度が約-120℃と極めて低く、そのため低温における耐衝撃性などの耐寒性に優れています。
耐水性、耐薬品性に優れており、常温ではほとんどの無機系酸・アルカリに侵されません。
電気的性質に優れています。特に誘電損失が小さく、電気絶縁性が良好であり、電線被覆材などとして使用されます。
一般に、結晶性樹脂を構成している微結晶の大きさが光の散乱の要因となり、特にHDPEのように微結晶が多く、結晶化度が高いほど透明性が悪くなります。一方、結晶化度の低いLDPEでは、透明性は良くなります。
需要動向:
国内におけるポリエチレンの年間出荷量は、約260万トンであり、用途別では、フィルム用途が一番多く、約半分の割合を占めています。建築・土木資材用途に使用されるポリエチレンは、年間8万トンほどであると言われていますが、その内、水道配水管やガス管などのライフライン関連の配管材料用途が約7割を占めています。
主なポリエチレンの建築・土木資材用途例:
 建築資材用途
  1. 壁・内装材料:防湿気密フィルム
  2. 屋根・外装材料:透湿防水シート、透湿ルーフィング
  3. 断熱材料:高発泡断熱材

 土木資材用途
  1.配管材料:上下水道用パイプ、給湯用パイプ、床暖房用パイプ、ガス用パイプ
  2.土木資材:ジオグリッド、遮水シート、防根シート
  3.その他:人工芝、鋼管・鋼線防蝕被覆
用途例の説明
疎水性のため、吸水率が非常に少なく、壁の内側に使用される防湿気密フィルムとして使われています。
また、防湿気密フィルムやシートに無数の微細な孔を開けた透湿防水シート(外部からの水の浸入を防ぎ、内部の湿気は放出)が建築用途に使用されます。壁面に使用される透湿防水シートを屋根に適用した透湿ルーフィングは、屋根裏に滞留しやすくなっている湿気を放出し、屋根の耐久性向上に貢献します。
配管材料として、一定の水圧がかかる上水道用では、変形に耐えうる高剛性の特性が要求され、また、耐震性として高衝撃特性が要求されます。この用途には、HDPEの樹脂構造を最適に分子設計した高性能HDPEが使用されます。
融点がHDPEでも130℃台と他の樹脂に比べ低く、高温下での使用には一定の制限がありますが、ポリエチレンの耐熱性不足をカバーするため、ポリエチレン分子の所々を結合させる架橋が行われます。架橋により、耐熱性、耐クリープ性、耐薬品性などの長期性能が向上します。この架橋の手法により製造された架橋ポリエチレンは、給湯温水にも耐えることができ、給湯用パイプや床暖房用パイプなどの給湯配管材料として使用されています。
ガス用のパイプ素材としては、中密度タイプのポリエチレンが使用されます。中密度ポリエチレンによるガス配管は、先ず欧米で普及が進み、その後国内でも使用が始まっています。ガス配管システムでは、安全面で万全の対応が必要とされ、100%の気密性が要求されますが、気密性の確保には、「エレクトロフュージョン(EF)接合」と呼ばれる融着接合による技術が活用されています。 経済産業省の「新潟県中越地震 ガス地震対策調査検討会報告書」では、ポリエチレン管での被害は全くなかったことが報告されており、ポリエチレン管の耐震性が実証されております。ガス会社では、地震に強く、耐久性の高い低圧導管ネットワークを構築するために、ポリエチレン管の導入を推進しています。
HDPEの高強度、高耐久性などの特長を活かして、ジオグリッドや遮水シートなどの土木資材用途に使われています。国内のジオグリッドの需要の約半分にHDPEが使用されています。なお、近年、遮水シートの分野では、柔軟性があり、高強度、高耐久性を備えたメタロセン系L−LDPEが、その特性を活かして使用されています。
天然芝の代替である人工芝に求められる品質性能は、風にそよぐソウトな風合い、長期間の運動に対する耐磨耗性、紫外線に対する耐候性であり、その要求を満たす原材料としてLDPEが主として使用され、より強度が必要な用途向けにはメタロセンPEが配合されます。
· PE製人工芝の大別種類と用途
(1) 射出成型タイプ
1) 一般用
玄関マット・ベランダ景観マット・プ−ルサイド・公園遊具周り等には、適度に硬くかつソフト感のある製品が要求されます。
2) 歩経路用
ゴルフ場のカ−ト道・歩経路等には、人やカ−トが乗っても、型崩れせず、一方でソフト感を持つ製品が要求されます。
3) 滑走施設用
人工スキ−場・ジャンプ台・子供用ソリ遊び場等には、高い滑走性能と硬度のある製品が要求されます。
(2) タフトタイプ
1) ポリエチレン樹脂を糸状に加工し、生地に芝状に植えつけていく方法で、現在人工芝の主流である「ロングパイル人工芝」と総称され、天然芝の風合いを持ち、スライディングしても火傷をしない新タイプの人工芝です。
2) 用途としては、野球場・サッカ−場・ラグビ−場・アメフト場・多目的運動場等に販売・施工されています。
3) 要求される性能は、激しい運動に耐えられる耐久性と、スポ−ツの種類に合った運動性で、人工芝のみならず充填材や下地材の総合的な選定が必要です。
なお、三菱化学グループでは、「日本ポリエチレン(株)」が各種ポリエチレンを上市しております。
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